【ご質問の多い選択肢同士の関係】混同〈基礎補完講義〉

混同に関連して、個別ミーティングで質問が増えている選択肢の関係について検討してみていきます。

素材は、平成29年第8問-イと平成24年第22問-2です。問題集にて選択肢を確認してみてください。

素材1:平成29年第8問-イ

まず、平成29年第8問-イについて、179条1項ただし書によれば、同一物についての所有権と他の物権が同一人に帰属したとしても、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは混同は生じないとされている。

今回のケースだと、第2順位の抵当権の設定を受けているCが、Aから甲土地を譲り受けているため、所有者と抵当権が同一人に帰属することになる。この土地は、第1順位の抵当権者Bの権利の目的となっているが、Cの権利は第2順位の抵当権であることからすれば、これを残しておく必要性はない。そのため、Cの抵当権は消滅する。

素材2:理解の基本となる事例

上記のケースとは異なり、1番抵当権者Bが抵当権設定者Aから抵当目的物をAから譲り受けた場合は、1番抵当権は消滅しない。この場合は、1番抵当権者が2番抵当権者よりも優先して配当を受領することができる(『新・コンメンタール民法 第2版』(日本評論社)364頁参照)。この事例を基本的な事例として学習することが多いと思われるが、こちらに引っ張られて、素材1では抵当権は消滅しないと判断してしまう方が多い印象である。

素材3:平成24年第22問-2

一方、平成24年第22問-3は、抵当権のみに注目すると、1番抵当権は消滅しないように思える。しかし、被担保債権は、相続により債権者と債務者が同一人に帰するに至っているので、混同により消滅する(520条本文)。被担保債権が消滅する以上、抵当権もその付従性により消滅することになる。

教科書では、2つ目の事例について解説されていることが多いため、この事例と平成29年の選択肢との関係で判断が難しかったものと推測されます。典型事例との異同を意識して検討することが求められます。

[PR]大学教科書・専門書・医学書 専門買取サイト「専門書アカデミー」

コメント

タイトルとURLをコピーしました