既判力が作用するから「却下」?

たくさんの回答をいただきましたこちらの問題。

正解は、「棄却する」です。

正解できた方も、その理由を正確に説明できるかを確認するようにしておきましょう。

既判力の作用に対する誤解?

「却下する」を選んだ方は、既判力の作用について、少し誤解があるかもしれません。

既判力が作用する場合の取り扱いについて、「後訴は既判力に触れるので許されない」といったような説明がされることがありますが、この説明は不十分です」(ベーシックスタディ民事訴訟法・195頁参照)とされています。

この説明だと、「許されない」という意味が明らかにされていません。なんとなく紛争の蒸し返しはしてはならないから門前払いされる、すなわち、「却下される」と勘違いしている受験生が多い印象です。

既判力の作用とは?

改めて既判力の作用について確認してみます。既判力の作用には、消極的作用と積極的作用の2つがあるとされています。

消極的作用とは、前訴で敗訴した当事者は、前訴の判決の判断に反する主張立証をすることができないとする作用をいいます。一方、積極的作用とは、裁判所は、既判力がある判断を前提にして本案判決をしなければならないとする作用をいいます。

既判力が作用する場合には後訴が「却下される」と考えてしまった方は、「後訴は認められない」という説明のうち、「認められない」=「訴訟要件を欠いている」、というように無意識に捉えてしまっている可能性があります。

法律を学ぶ際は、定義、要件、効果など、全てを正確に理解することが必要となります。既判力は、その定義、正当化根拠、既判力が生じる範囲を学んで力尽きてしまう方が多いようです。既判力が後訴に作用するのはどのような場合か、また、どのように作用するのかについて、正確に押さえることが求められます。

なんとなく自己流に整理するのではなく、基本書や教科書に掲載されている内容を丁寧に理解し、記憶していくようにしましょう。

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